2013年07月28日

任期付き、続けてます。

研究は競争なのだ(4)〜そこに何を書くの?

研究目的が大問題?どーも、空いつかです。
最近すっきりしない天気が続きます。戻り梅雨ってやつですかね…あまり夏らしくない日々なのです。

さて、今回は「申請書って何だ」について考えてみたいと思います。
よく、申請書の準備が大変とかよく聞きますが、みなさん一体何を書いているのでしょうか?
ソライツには国家レベル(組織間)の大型予算を申請する機会はないのでそちらはわかりませんが(汗)、通常は、研究の目的、それを実現するための計画、また、申請者がその研究を遂行する能力があることを示す実績、の3本柱から構成されることが多いようです。その他、最近では研究成果の公開方法の計画(アウトリーチ活動)などを求められたりするようです。

これらを限られたスペースにいかにわかりやすく書くことができるか、が申請書を作成する際に求められる能力であり、前回にも書いたように、研究者にとって非常に大事な能力です。それぞれについて簡単に説明すると以下のようになります。
  • 研究の目的…現在どういう状況で申請する研究はどういう位置づけなのかを説明する。また、この研究を進めることで得られること(通常は学術的な意義)は何かをまとめる
  • 実験計画…提案する研究を遂行する上でどのような計画で実施するか。当然ながら実現可能な計画である必要があります
  • 実績…この研究を進めるだけの能力があることを示すために客観的な実績を示します。通常は関連分野の発表論文や場合によっては学会発表の実績などを示します。
このような構成になりますが、中でも研究の目的が最も重要であり、説得力のある説明で審査員のココロを掴まなければなかなか申請は通りません。

自分の研究ですので、愛着があればあるほどこれらの説明もしやすいのですが、熱意のあまり詳細に書けばいいというものでもなく、程よい分量で読み手の心にすっと入る、そんな文章が書ければ…いいなぁ(トオイメ)。

このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by 空いつか at 23:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 任期付き、続けてます。

2013年07月21日

任期付き、続けてます。

研究は競争なのだ(3)〜外部資金獲得の意味

外部資金獲得の意味?どーも、空いつかです。
すっかり期間が空いてしまいました。特に仕事が忙しいというわけでもないのですが、ちょっと油断するとすぐに時間が経ってしまいますね。…年かなぁ(汗)

さて、今回は外部資金獲得の別の意味について考えてみます。
アカデミックな研究業界に身を置いている方なら最近はほとんど義務とも言える競争的資金への応募。毎年交付される研究予算が減らされ、競争的資金を取ることで研究を進めやすくなる、という実際的な意味はもちろん大きいのですが、もう一つ重要な意味があります。

それは「自分の研究を進める意義を認めて貰う」という側面です。つまり、企業での研究活動に例えるなら、企業で行う研究は基本的には「企業の利益につなげる」ことが目的です。そのため「個人的に興味があるから」という理由だけでは研究を進めることは難しいでしょう。やはり「利益につながる何か」の説明が必要なのだと思います。

競争的資金の場合も同様に「意義のある研究」ということを認めて貰うことになります。公的資金の場合は、「(金銭的な)利益につながる」という理由ではなく(利益につながるなら企業などとやれるでしょということ)で「学術的にこのような意味がある」、「将来社会にとってこのような利益がある」などを説明することになります。ざっくり言うならやろうとしている研究に具体的なユメがあるのかどうか、ということでしょうか。

ユメを語り、第三者に認めて貰い、実現させるための資金を獲る、こう考えると何だかかっこ
いいですね(汗)。言い方を変えると今の時代、研究者に必要な能力として「ユメを具体的に語れる」ということになるのかもしれません。なので、言われた研究をただ何となく進めるのではなく、その意義を説明できるようなトレーニングは常にしておきたいですね。
このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by 空いつか at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | 任期付き、続けてます。

2013年06月30日

任期付き、続けてます。

研究は競争なのだ(2)〜外部資金の規模

研究は競争なのだ(2)〜外部資金の規模どーも、空いつかです。
気がつけば今日は6月30日、夏越の祓えということで1年も半分終わりました…ソライツのこの半年はいろいろあったので、年が明けてからあっという間だったような、すごく長かったような不思議な期間でした。皆さんはどんな半年を過ごしましたか?

さて、今回は外部資金の規模、このシリーズの対象となる規模についてです。
第一回目で外部資金の規模は大きい物から小さい物まで様々あるという事を書きましたが、それに併せて交付対象となる範囲も変わってきます。最小単位は個人になりますし、数人のグループ、もっと大きくなると組織単位、さらに大きくなると複数組織で遂行するプロジェクトになります。

ソライツは特に優秀でもない一介の研究職なので(涙)、身近な外部資金は当然個人単位のものです。たまに同僚がグループ単位の規模に応募してたりするのを聞くぐらいなので、このシリーズで取り上げる外部資金は個人単位で交付されるものを対象とします。

規模の大きい予算になるとその予算でポスドクなどを雇うこともできますが、個人単位の規模(最も身近なのは科研費の若手研究ぐらい)だと、実験に使う消耗品や学会などの参加費に使う水準です(2-4年で総額数十〜1,2千万円ぐらい)。このシリーズで特に断りなく外部資金、と書いた場合はこの規模の外部資金の話だとして捉えて下さい。

いずれはもう少し大きな外部資金の話もまとめていきたいと思うのですが、いかんせんソライツがそんな規模の予算を「取りに行く側」に関係したことがないので、そちらの話をうまくまとめられるかどうか…まあ、その予算に「振り回された側」という経験はあるんですが…(^^;

このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by 空いつか at 23:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | 任期付き、続けてます。

2013年06月25日

任期付き、続けてます。

任期でウチドメ!長期研究

任期でウチドメ!長期の研究テーマどーも、空いつかです。
外部資金編を続けると書きましたが、ちょっと気になる記事がありましたので、今回はそれについて。

ということで、今回は長期研究ができない任期付き現場、について考えたいと思います。
6/25付けの日経新聞(Web)の記事で「質・量とも技術力低下」という記事が配信されました。内容はタイトル通りですが、その記事の最後の方に低下の要因として「日本の研究者1人あたりの研究支援者数が少ないことや、5年以上の長期研究の減少なども問題視した」ということが少しだけ書かれています。

現在の研究制度では、1.任期付き研究職の上限がおおむね5年であること2.大型予算などによるプロジェクト研究の期間が5年程度の事が多い、ということから5年以上の長期研究が減少しているのはそれらが影響していると考えられます。

プロジェクト研究は期間を決めて集中的に投資するという方策なので仕方ないのですが、任期切れのためにテーマが継続できないという場合、それまでの経費や労力が無駄になってしまいます。テーマを引き継ぐ人がいるか、次職でも続けられればいいのですが、なかなかそれも難しく、ソライツがいた職場でも頻繁にありましたし、ソライツが抜けたことで止まってしまったテーマもありました。

必ずしも長期研究が優れた研究に結びつくわけではありませんが、やはり息の長いテーマも必要ではないかなぁと思います。任期付き制度は人件費の抑制に効果があった(?)かもしれませんが、このような非効率な点も多くあることにも目を向ける必要があると思います。なお、今春からの改正労働契約法によりこの傾向がより強まっていくのでしょうね。

このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by 空いつか at 23:43 | Comment(0) | TrackBack(0) | 任期付き、続けてます。

2013年06月20日

任期付き、続けてます。

研究は競争なのだ(1)〜研究資金を勝ち取れ!

研究は競争なのだ(1)〜研究資金を勝ち取れ!どーも、空いつかです。
すっかり梅雨日和。台風まで来ているようで、もうすぐ夏…なのかな?

さて、今回からしばらく「競争的資金」について取り上げてみようと思います。
会社組織で研究している方にはひょっとしたらあまりなじみがないかも知れません。アカデミック研究者が対象であることが多く、あるテーマに関連する研究計画を提案し、優れた計画が研究資金を獲得する、という競争的な制度です。また所属機関外から取得することから外部資金と呼ばれたりもします(所属内の競争的資金もある)。

「研究の資金なんて組織の予算から出るんじゃないの?」という疑問もあると思いますが、研究予算はどこもカツカツ。組織によっては外部資金を取ってこなければ実験に必要となる物品の購入費や学会参加の出張費もなかなか工面できない、というのが現状みたいです。

後の機会に取り上げますが、科学研究費助成事業、いわゆる科研費と呼ばれる、研究者にとってもっともなじみのあるものから、一般企業が公募しているようなピンポイントな物まで様々あり、使える金額も数十万円の規模から数億〜数十億円の単位までそれこそ多種多様です。

最近は国の方針としても研究の質を上げるという名目で競争的資金の割合が増えており、審査者を納得させることができるような研究が求められています。一般の方にはなじみの薄い(と思う)、そんな制度についてしばらく綴ってみたいと思います。

このエントリーをはてなブックマークに追加
ブログランキング・にほんブログ村へ
posted by 空いつか at 23:47 | Comment(0) | TrackBack(0) | 任期付き、続けてます。